毎度の事ながら、天気図とニラメッコの日々を過ごし、「あじか磯釣りセンター」に釣行の予約を入れたのが前日の午後。 コロコロと変わる天気図に惑わされ二の足を踏んでいたのだが流石に辛抱の棒が折れ、中日は凪だろうと勝手に判断し予約を入れた次第である。
16日午前5時30分、高島師匠の1091カーに荷物を載せて広島を出発。 途中で買い物と食事を済ませ、新しくなった「あじか磯釣りセンター」の事務所前に到着したのは午後12時過ぎのことだった。 ゴージャスになった新事務所に入り乗船名簿に記入・・・頼んでおいたエサの確認をして、事務所の隣に建てられた神社で航海の安全を祈願した。
今回の航海は前田船長が操船するブラックヘラクレス。13時積込みの14時出港予定だったが、出発が待ちきれないお客が多かったのか、早い時間からの積み込み開始となり、13時30分にはヘラクレスの誇る2560馬力のエンジンが咆哮。30数名のお客の夢を載せて男女群島へ出港した。
船尾のベッドを陣取って浅い睡眠を貪ること3時間余り・・・何となく予感がしたので身支度を整えてデッキに出てみると、既にヘラクレスは男女群島は男島に到着していた。 凪いでくる予報だったので西岸への磯を期待していたのだが、予報に反して吹き付けて来る北からの強風を避けるため、東岸の磯を探索している模様。 ヘラクレスはクロキ島の東岸から展開を始めて、水道側に出ては引っ込むを繰り返し、徐々に南下していった。
「何処に連れて行ってくれるんかいな・・・?」 高島師匠とそう話しながら、男女群島の景色を楽しんでいると・・・ 「yukimaruさ~ん 準備しましょう!」 前田キャプテンから声が掛かった! 「重箱」の次くらいだったので、「中山かいな?」 そう思っていると「中山」付近は速力を上げてスル~・・・ 頭に「?」を浮かべながら様子を伺っていると、ようやくブラックヘラクレスのエンジンがスローに・・・。 ヘラクレスがホースヘッドを押し付けた磯は、女島のハナレ磯である「沖の平瀬」だった。 この「沖の平瀬」は2007年の遠征で昼に乗った事はあるが、見えたメダイを高島師匠が釣っただけで、クロに対する良い思い出はない。 「何処を釣るんだったっけ・・・?」 以前、乗った際の記憶を掘り起しながら、荷物を高場に揚げ、夜釣りの準備にかかった。 男女群島の夜釣り・・・っと言えば巨なオナガ狙い。 80cmクラスのメダイも食ってくるので必然とタックルはゴツイものになる。 その頑強一番のタックルを組上げ、イザ実釣・・・。 高島師匠が「地の平瀬」との水道側に入り、私は沖側の釣り座に入った。
マキエをパラパラと足元に打ち、タナ3ヒロに設定した仕掛けを夜の海に放り込む。すると、蛍光色のケミホタルを背負ったウキは上げの潮流に乗って南の方向へと流れて行く。 50m程度流したところで仕掛けを回収するが、鉤に刺したサシエは影も形も無い。次投は磯際に引き付けて投入・・・すると妙なアタリはあるものの鉤に乗らず。どうにも厄介なエサトリが跋扈しているようだ。 ハリスにナマリを打ち、仕掛けの角度を微妙に変えて仕掛けを投入! するとユラユラと海面ギリギリを漂っていたウキがゆっくりと海中に入って行った。 らしいアタリに興奮しながらの大合わせ! しか~し、返ってきたのは、らしいアタリに相応しくない弱々しい妙な引き・・・。 「なんでこんなウオが夜釣りで釣れるんぢゃ・・・。」 上がってきたのは「カゴカキダイ」。 夜釣りでお初の獲物となった。
サシエが全く残らない状態が続き、たま~に食ってくるのが夜釣り名物の「ハタンポ」と「キンギョ」の一族。 潮に乗せたり磯際に引き付けたりと手を代えて攻めてみるも状況は変らない。 そこでチョイと深めのタナを探索してみることに・・・。 サシエが残らないのでタナを深くする必用性は無いのだが、これも気分転換である。 タナを竿2本弱取って、磯から竿3本程度沖に仕掛けを放り込む。 仕掛けがジワリと馴染んだところで張りを入れながら道糸を送っていると、ケミの光が一気に海中に突き刺さるのと同時にリールのスプールから道糸が弾け出た。 ゴツイ当りにビックリしながら合わせを入れてヤリトリ開始。 胴まで綺麗に曲がった豪竿はウオの力を剥ぎ取るかの如く、その返す刀の反発力で浮かせにかかる。 「こりゃ、60ぢゃ~!」 「やったでー!」 「オラオラオラァ~!」 一人でギャーギャー騒ぎながら出したり巻いたりを繰り返す。 そして、磯際にきたところで、キャップライトを当てて魚体を確認。 「・・・・・」 「げっっ・・・ウソぢゃろ・・・。」 ライトに照らされたウオの尾っぽにはアディダスマークが・・・。 「三の字」 正式名:「ニザダイ」であった。 (ノД`)ハァ
当然、三の字はリリース。 そして、妙なウオは釣りたくないので、再びタナを浅くして同じポイントに仕掛けを放り込む・・・。 すると、再びケミの光に妙な変化が。 半信半疑で合わせてみると、「ハタンポ」系のウオではない反応が返ってきた。 敵もビックリしたのか、やたらとガコガコ引き回るが、先ほどの「三の字」に比べるとカワイイもの・・・。 「小さい三の字ぢゃなかろうのぅ・・・」 妙な疑念が頭に浮かんだが、強靭なタックルにモノを言わせて強引に巻き取り、磯上にブリ上げたのは40cmUpのオナガ君。 夜の獲物としては、大きくはないが、今遠征初の本命捕獲となった。 それにしても初モノまでの道のりの遠いこと。 遠征貧果・・・嫌~な文字が頭に浮かんだ。
結局、夜明けまで粘りに粘って釣ったオナガはたったの3枚・・・。 ケミの光が不必要になってきたのを頃合に、夜用タックルをロッドケースに仕舞い込み、代わりに昼用のタックルを取り出した。 ここは一応の本流磯・・・なので、選んだ竿は「がまかつ」マスターモデル尾長H。 それに3号の道糸を巻いたトーナメントを組み合わせる。 潮はそれほど速くないので、選んだウキはG2が2つ打てる負荷のモノ。 タナ2ヒロ半にて明るくなった「沖の平瀬」の海に放り込んだ。 背中からのフォロー風を感じながら、マキエを足元に打ち、ゆっくりと流れる潮流に合わせて道糸を送り込む。 ウキ止めにより頭を押さえられたウキはピクリと反応した後、仕掛けの全負荷を受けてジワリと潮に馴染み、ゆっくりと潜航を開始。 道糸を海面へ置き直すためウキから目を離した瞬間・・・バリバリバリ~っってな感じで道糸がスプールから弾け飛んだ! ベールを戻すと同時に大きく合わせ、合わせた勢いに乗じて竿を締め込むと、返ってくるウオからの反応はナカナカの強さ。 糸鳴りのハーモニーを耳にしつつ、その大きな抵抗感から良型オナガを確信し、後手を踏まぬヤリトリで応戦! しかし、次の瞬間、竿に乗っていた力はフッと軽くなり、綺麗に曲がっていた竿はその曲がりを失っていた。 仕掛けを回収してみるとチモトからプッツン。 絵に描いたようなバラシに肩を落としつつ、暫し海を見つめる・・・。 気を取り直し、新しい鉤をハリスに結んでアタリのあったコースに再度チャレンジ。 すると、またまた力強い反応が返ってきたのだが、これはあーもすーも無く瞬殺されてしまった。 回収してみると、これまたチモトからプッツン・・・。 (´Д`;)/ヽァ・・・ 「手強い・・・。」
三度目の正直である・・・。 ウキ下を2ヒロに上げ、祈るような気持ちで先ほどと同じ潮筋をトレース。 仕掛けが馴染みユルユルと潜航を開始するウキをゆっくりと引き戻しながら張りを入れて流していくと、明らかに違う速度でウキが海中に入って行った。 先手必勝の早合わせ! 大きく竿を煽り、竿矯めの状態でウオの力を計ってみるが、重量感はあるものの、先ほどのようなウオの力強さは無い。 腰矯めの位置に竿を構え直し、竿の強さに任せながらゴリ巻きで距離を詰めていくと 「参った!」 ・・・っとばかりに浮いてきたのは40Upのクチブト君。ブリ上げ可能な大きさではあるが、バラシ続きの弱気モード・・・なので、タモを手に取り優しく掬い取った。
今から今から・・・自分に言い聞かせるように呟きながらサシエを手に取る。 しかし、ここで轟音を轟かせながら「二重鼻」方向からやってきたのがブラックヘラクレス。 朝の見回りに来たようだ。 高島師匠と替わるか留まるかを相談するが確たる答えは出ず、アタリがあったのを良しとして、昼まで様子を見ることに・・・。 「昼頃に来ます。」 前田船長はそう言い残して「沖の平瀬」を離岸、ヘラクレスは轟音と共にハナグリ方向に走り去って行った。 喧騒の後の静寂を感じながら、船から降ろしたビールで喉を潤し、暫しの休憩の後に釣りを再開。 先ほどクチブトが食ってきたポイントを再探索してみる。 しかし、仕掛けは上手く馴染まず、サシエが全く残らない状況に。 劇的とも言える状況変化に戸惑いながら、偏光グラスを掛けて辺りの海面を観察・・・すると、何やら妙な波紋があちこちに。 「あれはウキグレか・・・?!」 真偽を確かめるべく1ヒロ半の固定にて仕掛けを張りつつ入れてみる・・・すると、一発で食ってきたのが「ウキグレ」ならぬ「ウキ・イスズミ君」。 これには流石にガックリコン・・・・・。 あちこちに見える波紋は全部イスズミのようで、全くサシエがクロの居るであろうタナまで通らない状況に・・・。 足元から遠くまであっちこっちと試してみたが、釣れてくるのは全て小型のイスズミ君。 あれやこれや行う気力も削がれ、出した答えが 「瀬替り確定」。 昼の見回りにて「沖の平瀬」の撤退を決意し、荷物を纏めてヘラクレスを待つことにし。
13時過ぎ、ブラックヘラクレスが来磯・・・手際よくポーター君達に荷物を渡して船に乗り込む。 船上で昼食の食材やエサを準備して次の上礁に備える中、ヘラクレスは南下。 前田キャプテンが次の磯へと選んでくれたのは、男女群島は女島の南に位置する「大サメ瀬」だった。 「大サメ瀬」は北から吹き付ける強風を受け、けっこうな波が磯を駆け上がっていたが、そこは百戦錬磨の前田キャプテン・・・見事な操船で難なくホースヘッドを磯にドン! 「そりゃ~急げ~!」 ・・・っとばかりに磯に乗って、ポータ君達から荷物を受け取る。 「夕方に来ます・・・」 ・・・っと前田キャプテン。 「大サメ瀬」を離れるヘラクレ スを見送って荷物を高台に繰り上げた。 さて、この「大サメ瀬」、2年ぶりの上礁となるが、好潮は下げ潮で上げ潮になると「小サメ瀬」が邪魔になり、かなり釣り難い。 そして、今が絶好の下げ潮ゴンゴン! なので、すぐにでも釣るべきなのだが、情けないことに二人はかなりの腹減り状態。 腹が減っては戦ができぬ・・・ってことで、ヘラクレスから下ろした食材で昼食を取ることに。 毎度の定番である「佐賀牛」を使った焼肉ランチだが、今回は高島師匠が炭火焼肉コンロを用意してくれていたので、かなり本格的な焼肉に・・・。 二人で肉を突っつきながら、あーだこーだと話しは弾む。 すると、「小サメ」に乗っているお客さんからも声が掛った!
「今は下げ潮やけん、「大サメ」は釣ったがヨカよ~!」 「分かってますが、腹ペコでねぇ・・・。(笑)」 「飲みたいっちゃろ~・・・(笑)」 「バレたか~・・・(笑)」 なんとも、とても面白い方だった。 ψ(`∇´)ψ 美味しい焼肉と美味しい会話をいただき、気力・体力・腹力と三拍子が揃った所で、いよいよ竿を持っての実釣開始!
マキエを打って確かめるまでもなく、「大サメ瀬」の潮は激流状態・・・「沖の平瀬」の仕掛けのまま、その激流に投げ込んではみたが、どうにも入らないので仕掛けの交換。 ウキはそのままにナマリだけを足して過負荷状態で沈めて探ることも考えたが、ここには巨大な「三の字」が生息しているので、あまり深く釣るべきではない。 なので、道糸ハリスは3号通しのまま、5B負荷のウキを装着・・・直結部に3Bのナマリを打ちハリスの中間に2Bのナマリを打ってみた。 タナは2ヒロに設定・・・その仕掛けを強烈な流れを見せる豪潮に放り込んでみる。
バラバラと出ていく道糸に適度なテンションを掛けて仕掛けを流すと、しばらくの間は浮いていたウキが潮に揉まれて徐々に潜航を開始・・・ウキ自身が新たな抵抗体となり更に力強く道糸を引き出した。 すると、その引き出される力が更に加速! 明らかに潮の抵抗とは違う力を感じ、大きく竿を起こすと強烈な荷重がマスターモデルに圧し掛かり、瞬時に綺麗な弧を描いた。 ウオの重量感に豪潮の抵抗が加わり、ナカナカの引き味を披露。 しかし、「がまかつ」の誇るマスターモデルを困らせる程のウオではなく、ジワリジワリと距離は詰まり、足元に来たところで一気にゴボウ抜く。 磯のタイドプールにどでんと横たわったのは40cmクラスのオナガ君・・・。 「サメ瀬」サイズとは言えない大きさだが、嬉しい昼オナガの捕獲とあいなった。
16:00過ぎ、ブラックヘラクレスが見回りにやって来た。 Day Attackの獲物をクーラーに収め、弁当と新しいエサを受け取る。 「風が酷くなったら回収に来ますから・・・」 前田キャプテンはそう言って「大サメ瀬」を離れた・・・。 夜の帳が降りるまでの時間はあと少し。 潮は既に上げに転じており、下げの激流には元気がない。 釣り座の正面にできている潮目を狙うと、「サメ瀬」サイズとはかけ離れた干物サイズのクチブトが竿を曲げてくれた。 我が家では干物も重要な食材であるため、あと1枚、あと1枚と言い聞かせながら昼用のタックルを振っていると、超・激震が我が二の腕に来襲! トルクフルな力で一気に瀬際を走り抜け、ドラグが悲鳴を上げたと思ったら竿矯めのヒマすらなくプッツン・・・。 巨な「三の字」かもしれないが、後悔先に立たず・・・。 「夜用のタックルだったらのぅ・・・」 そう思わせる後悔の一撃だった。 これを機にタックルの交換・・・昼用のタックルをロッドケースに納めて夜用のハードタックルを取り出す。 仕掛けは「沖の平瀬」で使用した物のまま、ハリスのみ10号にランクUp! 狙うタナは約3ヒロ、マキエを足元に打って、頑丈一番の仕掛けを上げの本流に投入してみた。 強い潮の流れを受け、パラパラと出て行く道糸を左手の指で押さえながらケミホタルの光の動きを目で追っていると、ヨレや湧き上がりが連続する上げの豪潮の中を踊るように流れて行く光の筋が綺麗な残像を伴って海中に引き込まれていった。 ラインが走るのを確認し、大きく合わせてからのポンピング。 ウオとの距離を詰めにかかると、「イヤぢゃぁ~」・・・っとばかりに果敢な抵抗を見せるウオ。 しかし、男女の夜釣りタックルを破壊できるチカラはなく、徐々に私との距離は詰まる形に。 足元の妙な形の岩をかわし、ウオのハネ叩きを確認してブリ上げモード。 腰を落としてせ~のぅ・・・。 「うおぉぉりゃ~!」 w( ▼o▼ )w オオォォ ビトンビトンと跳ね回るウオ・・・。 キャップライトを点けて魚体を確認、「大サメ」の斜面に横たわったウオは45cmを超えるオナガグレだった。
本流の中で順調に喰ってくる夜のオナガ君。 このままいけば手持ちのドンゴロスが足りん! ・・・そう思うほどの勢いで食ってきたが、これは取らぬタヌキの何とやら。 上げ潮が頂点を迎える頃から前田キャプテンの読みどおり、キッチリと天候が悪化。 北方向から吹き付ける風は容赦なく、バッシャンバッシャンと波も騒ぎ、落ち着いて釣りができる状態ではなくなってしまった。 チョイとヤバイかも・・・そう思い始めた午後10時頃、煌々とした光を纏ってブラックヘラクレスの助け船。 天候さえ良かったら、まだまだ釣れそうな状況ではあったが、こんなに風ビュービューではあきまへん。 迎えにきてくれたブラックヘラクレスに乗って「大サメ」を後にする事に・・・。 「yukimaruさ~ん 何処かに乗るね?」 前田船長は気を遣って聞いてくれたが、エサも残り少なかったので、ヘラクレスでの宿泊を決定。 そのまま納竿する事にした。 道具類の片付けを終え、船長お手製の暖かい味噌汁をいただくと昼間の疲れがドッとでたのか、強烈な睡魔が襲来・・・。 すかさず、船尾のベッドに転がり込み、そのまま朝まで爆睡となった・・・Zzzz。